ヒトへの進化を妄想する 後編 - 優れた進化と糖質との関係

ヒトへの進化を妄想する 前編 - 地球カレンダーで見る哺乳類への軌跡 宵と泡沫

前編では地球での生命誕生からヒトの出現まで見てきた。
後編ではヒトは具体的にどんな進化をしてきたのかを見ていきたいと思う。

もくじ

2:ヒトは特別な存在ではない

ここからは『残酷な進化論(著:更科 功氏)』の覚書を含めた考察となる。

残酷な進化論: なぜ私たちは「不完全」なのか(更科功) amazon.co.jp

現在、地球を支配しているのは哺乳類、そしてヒトだ。
なぜ私たちは地球で大繁栄できたのか、その謎を追っていく。

■ 生物には「生きる目的」があるか?

生物の定義を新陳代謝(≒エネルギーを得て自分の体を作る)とするなら、「台風は生きている」と言える。(複製する散逸構造)
台風は海上の暖かい空気を食べて成長し、時には分裂し、子供も発生する。
そう考えると、台風が1週間ほどで消滅するのが儚く感じる。

台風には「生きている目的」はあるだろうか?
人間の目から見ている分には、自然発生しただけで目的は無いように思える。
つまり、生きているから生きているのであって、生きることに目的はないということだ。
私たちが生物と考えているもの全てに当てはまるのではないか。

しかし、生きるために大切なことはある。食べることだ。
多くの生物は、待っているだけでは食べ物にありつけない。
食べるためには動かないといけない。口を前に出して動きやすい形は、「抵抗が少ない細長い形状」となる。よって頭から尻尾にかけて背骨のある脊索動物の形状となったのだろう。
基本的には左右対称の方が動きやすい「左右相称動物」の形状になるが、体の中は左右対称になる必要はないため、心臓の位置などは左にずれたりしている。

■ 心臓病は致し方なし?

哺乳類は魚と違い、上下にも血液を送らないといけない。
そのためには必然的に血圧は高くしないといけない

魚は水中の酸素を鰓で取り込む。液体から液体への変化となるので圧力差はない。
しかし、肺の場合は気体と液体での間での酸素交換となるため、肺と血管で同じ血圧にしてしまうと、圧力差によって肺の方に血液が出てしまう。
よって、肺は低血圧にしないといけない

そのため、ヒトの心臓は2つの圧力で血液を送り出せるように進化した。
心臓は部屋が分かれており、心臓の右側からは肺へ、右側より筋肉量も多い左側からは全身へ血液を送り出す。

心臓自体への酸素供給は、心臓を取り巻く冠状動脈が担っている。
この冠状動脈は直径が2~4mmと細く、詰まりやすい。冠状動脈を通る血液が少なくなることを「狭心症」と言い、激痛が起きる。
心臓に酸素が十分に供給されないと、心筋細胞が死に始め「心筋梗塞」となる。
冠状動脈は心臓が動くと押し潰されるため、運動中には狭心症になりやすいそうだ。

心筋症を引き起こす動脈硬化は、血中コレステロールなどが原因なので、生活習慣が原因となることが多いと言われている。しかし、動脈硬化や狭心症の症状は遥か昔のミイラにも確認できるため、どんなに健康な生活をしていても発症することがある。
人類は心臓病から逃れることができないようだ。

■ 優れた肺?

酸素自体は「酸素の圧力」の高い方から低い方へ流れるため、鰓呼吸で海水から酸素を得るより、肺呼吸で空気中から取り込んだ方が酸素が多く、効率的に酸素を取り入れられる。

金魚や鯉にも肺がある。
エラ呼吸のみの場合、冠状動脈のような機能はなく、心臓を出た血液はまずエラに向かい、酸素を取り込む。その後全身に酸素を届け、また心臓に帰ってくるが、その時の血液には酸素が少なくなっている。
激しく動いた後はさらに酸素は少なくなる。エラとは別に肺があれば、肺を通った「酸素の多い血液」が心臓に戻る前の「酸素の少ない血液」と合流し、心臓が酸素を受け取ることができる。

また、水中の酸素は空気中の約30分の1で、酸素が広がっていく速さは約50万分の1だ。水中生物は日々、重い水の中で動くだけでかなりのエネルギーを使いながら酸素濃度と戦っている。
そのため、エラだけでなく肺もあった方が便利なのだと思われる。

初期の肺は消化器官から進化し、浮き袋(鰾)を経て肺に進化したと考えられている。

哺乳類の肺は息を吸った時に酸素を吸収し、息を吐いた時は空気が出ていくだけだが、鳥類はもっと効率的な仕組みになっている。

鳥類には肺の他に気嚢という器官がある。
鳥類は息を吸うとまず後気嚢に空気が入り、肺の空気は前気嚢に入る。息を吐くと後気嚢から肺に移動し、前気嚢からは外へ出ていく。
つまり、空気が「入って出る(逆流)」ではなく、「一方通行」となる。
そのため、より効率よく酸素を取り込める。
この構造で鳥は上空の空気が薄いところも飛んでいられる。

■ 窒素の捨て方の最適化?

動物は自分の体の中では生成できない必須アミノ酸を、タンパク質という形で外部から摂取しなければいけないが、タンパク質には必ず窒素が含まれている。摂取してしまった窒素は体外に捨てないといけない。
捨て方として一番単純なのはアンモニアにして捨てることだが、アンモニアは毒性が強い。

魚(硬骨魚類)は、要らない窒素をアンモニアに変えて、アンモニアをそのまま体外に捨てている。
アンモニアは水に溶けやすいため、すぐ周りの海水や淡水に薄まるからだ。

一方、陸上生物は一旦窒素を体の中に溜めておかないといけない。アンモニアの状態では毒性が強いため、「尿素」に変えて保管する。
しかし、尿素は水に溶けにくいため、大量の水で無理やり溶かしている。
そのため、私たちは毎日大量の水を摂取して排出する必要があるのだ。

水を毎日大量に飲んで体外に排出できる時は良い。
そう出来ない環境、例えば硬い卵の中はすぐに卵の外に出すことができない。
卵の中に尿素が溜まると、浸透圧が高まって胚に必要な水分が外に出ていってしまう。

そのため鳥類や爬虫類は窒素を「尿酸」に変えている。
尿酸は全く水に溶けないので卵の中の浸透圧が高くならないようになっている。よって彼らには膀胱がない。

■ 目の成り立ちって?

目の成り立ちはかなり古く、いろんな形状を経て今の形になった。

眼点があって自分の体に当たった光がわかる時は「明暗がわかる眼」。
眼点の網膜の真ん中が凹んでカップ状になると「方向がわかる眼(杯状眼)」。
杯状眼から入口が狭まってピンホール状になると「形がわかる眼(窩状眼)」(網膜に像が写る)となる。

窩状眼は入口が狭くて光が少ししか入らない。光を入れようと入り口を広げると像がボヤけてしまう。よって入り口に「レンズ」があるとたくさんの光を入れても像がよく見える構造になる(カメラ眼)。

【初期の脊索動物の目】
ヤツメウナギ:無顎類、カメラ眼
ヌタウナギ:無顎類、レンズはなく、明暗がわかる眼だが、おそらくカメラ眼が退化した眼
ナメクジウオ:頭索動物、眼点がある

Point:多面発現遺伝子 / 器官形成期 / 脊椎

一番優れている目はワシやタカの眼だと言われている。
鳥類は4色型色覚を持ち、紫外線も見え、ワシや鷹の目は視細胞の密度が高い。

また、ダイオウイカの目は超デカいが、軟体動物の目には盲点がないので大きい目を持っているようだ。盲点がある方が目の体積を小さくできる。

■ 腸内細菌は体の外にいる?

唇と肛門の間の表皮は粘膜上皮となっており、その間の空間は「体の外」だ。
「腸には腸内細菌がいる」と言われるが、これら細菌は体の外にしか居ない。

ヒトの腸内細菌は約1000兆個ほどと見積もられている。
ヒトの体は約40兆個の細胞で出来ていると言われるので、細菌の方がはるかに多い。その腸内細菌の99%以上は大腸に住んでいると言われるが、小腸にもかなりの数が住んでいる。

実は便の大部分は食べ物のカスではなく、半分くらいは腸内細菌の死骸(生きているものもいる)でその他のかなりの部分は粘膜上皮の剥離したもの。

腸内細菌は、私たちの消化を助けてくれたり、細菌が住める場所を埋め尽くして悪い細菌を住めなくさせ、危険な細菌が入ってきたら宿主に教えてくれたりして、外から入ってきた悪い細菌に感染したりするのを防いでくれたりする。
この共生は細菌側にもメリットがあり、我々は腸内細菌に暖かくて栄養が自動で運ばれてくる環境を提供しているのだ。

しかし、私たちの体は腸内細菌に無償で栄養を提供しているわけではない。そんなことをしたら自分に栄養が入ってこないため、ヒトの管腔内消化では糖はグルコースの一歩手前まで、タンパク質はアミノ酸の一歩手前まで行い、最後の消化は膜消化で行う。(腸内の浸透圧の調整説もある)

■ 足の作りと直立二足歩行の発達?

実は足は「足の形」だから走れる。
もし手のような形だったら、歩けるかもしれないが指が邪魔で走ることはできない。
人間の後ろ足はより走ることに特化した形をしている。

霊長類は昔「四手類」と呼ばれていた。チンパンジーの手はヒトの手より樹上生活に特化しており、チンパンジーも含めて大型の霊長類はナックルウォークという独特の歩き方をする。

元々ヒトの祖先は樹上生活をしていたと考えられる。
樹上を移動する際、大きな身体になると上の枝に捕まりながら二足歩行で移動するのが便利で、樹上で二足歩行に慣れた祖先が木を降りて、陸上で二足歩行の生活を始めたものと思われる。

イギリスでヒト対ウマのマラソンがある。
年によってはなんとヒトが勝つこともある。ウマよりヒトの方が持久力があり、ヒトは追いかけることが得意で逃げるのは下手だと言われている。

■ ミルクは大人は飲めない?

哺乳類は子供を母乳で育てるが、一人立ちするとミルクの中に含まれるラクトース(乳糖)を消化できる酵素ラクターゼを作らなくなる。
そのため、通常は大人はミルクを飲むと消化できなくて下痢になったりする。

だが、酪農が始まってから、ヒトには大人になってもラクターゼを作り続ける遺伝子異常があった方が都合が良くなってきた。

北ヨーロッパは日差しが弱いため、紫外線を浴びて生成されるビタミンDが少なくなる。ビタミンDがあまり作られないと骨の病気になりやすい。そこでミルクからカルシウムが取れると骨の病気になりにくくなったと考えられている。
しかし日差しが強い地域でも、栄養素が多いミルクを飲めると喉を潤すこともできて一石何鳥にもなる。

安定化選択は進化をさせないが、このような方向性選択は進化のアクセルとなり、進化はかなり早く進むようだ。

■ ヒトは一人では何の成果も得られない?

ヒトの出産は一人でできない(一人で取り上げられない)。
これは、集団生活が必要である生き物だということを物語っている。

よく、「おばあさん仮説」という言葉を耳にするが、ヒトのように閉経しても死なずに社会に必要とされる動物はあまりいない。未熟で手のかかる赤子と、人生経験豊富なおばあさんが若いヒトの子育てを手伝うことで社会性を築く生物的特徴なのかもしれない。

【ここまでのまとめ】
ヒトは決して特別な進化はしていない。
生きることに目的はなく、エネルギーの移動でしかない。しかし、生きるためには食べる必要があり、食べるためには動く必要があり、動くためにはエネルギーが必要だ。
エネルギーを生産する仕組みとして一番優秀なのは鳥の気嚢だ。そして食べたもので必要がない窒素の捨て方でも一番効率的なのは爬虫類や鳥の尿酸化だ。さらに一番優れた目の作りは猛禽類とされる。
たまたま陸上に進出したヒトは一人では生きられず、腸内細菌に生きるのを助けてもらっている。普通は大人が飲めないミルクを飲めるように進化し、出産も一人ではできない。

現在、ヒトによる第六の大量絶滅が起きていると言われている。ヒトによって崩壊した世界で、次はどんな生物が繁栄するのだろうか。

3:糖質とヒトの付き合い方

糖質制限ダイエットをしてみようかと思って『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学(著:夏井 睦氏)』を借りてみたところ、かなり面白かったので、覚書としてまとめていきたい。

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現在、ヒトを取り巻く食糧問題は深刻だ。
肥満、フードロス、水不足、人口爆発によって、将来お肉を食べられなくなるかもしれないと言われている。

ヒトと糖質の関係を考えてみる。

■ ヒトは穀物を食べないといけないのか

現在、ヒトが食べているもので大豆食品、魚貝類、野菜類、果物以外は「穀物」から出来ている。
家畜から生産される肉類も、家畜の餌は基本的に穀物のため、穀物から出来ていると言える。

本来、牛の食べ物はセルロース(草)だ。それをトウモロコシ(穀物)に変えて、脂肪をつけさせておいしい霜降り肉にしている(まるで現代人のようだ)。

穀物のうち、コメ以外のほとんどが「世界の穀倉地帯」と呼ばれる北米とオーストラリアで作られており、世界人口を支えている穀物はとても偏った場所で生産されていることになる。

化学的な窒素肥料による環境破壊や塩害、地下水の枯渇により、この一部の大生産地から世界各地に出荷するシステムは壊れようとしている。
淡水の枯渇は深刻で、地球上の淡水の総量に比較して70億人は多すぎるようだ。

■ ヒトはなぜ穀物栽培を始めたのか

動物は「巣を持つ動物」と「巣を持たない動物」に分類できる。
犬や猫は簡単にトイレを覚えることから、巣を持つ動物だと言える。

ヒトはどうだろうか。赤ちゃんはオムツをし、オムツが外れるまで長い。ヒトは元々は巣を持たない生き物だったと言える。

元々は定住しない生き物が定住をしなければならなくなった理由は穀物の栽培だと考えられるが、まずはドングリを可食化するためだった説がある。
秋になると大量に落ちているドングリを満足に食べるためには石臼が必要で、まずはその必然性から定住が行われたのではないかという説だ。

狩猟採集時代は働く時間はとても少なかった。
農耕が始まり穀物が主食となると、まるで穀物の奴隷のように長時間働く必要が出てきた。

しかし、中世までは育てた穀物は年貢のように納めるもので、庶民は粗末な食事をしていた。特別なハレの日以外のケの日は毎日同じものを食べていて、その頃は食べることは楽しみとは無縁のものだったと思われる。

砂糖やじゃがいもは、産業革命以降に世界に広まった。
極悪非道な三角貿易により、イギリスの庶民に安い砂糖が出回るようになって皆砂糖漬けになった。当時のヨーロッパでは砂糖は健康食品として考えられていたらしい。

■ ヒトが生み出したカロリーという概念は正しいのか

「カロリー数」の出し方をご存知だろうか?
その食べ物を燃やしてどれだけエネルギーを生み出したかという仕組みで、実はかなりエセ科学に近い。

牛などの反芻動物は摂取カロリーがゼロだ。
草食動物は基本的に自分でセルロースを摂取しているのではなく、共生菌に分解してもらって生成された副産物や自分で分解できる栄養素になってから摂取している。
通常、牛は反芻システムによって4つの胃を通し、摂取カロリーゼロであの巨体を維持できている。

ヒトは消化管の構造から考えると元は肉食だったと思われる。
パンダが竹食に適応したように、ある種の腸内細菌が優勢になることで、ヒトもセルロースだけで生きていくことができる体になることもある。
青汁だけで生活する人がいる。絶食して腸内細菌が壊滅した後に青汁だけを飲んでセルロースを分解できる腸内細菌が優勢になった可能性が高い。

■ ヒトは糖質制限ができるのか

糖質とは、血糖値を上げる食べ物のことだ。
炭水化物の中には糖質と食物繊維が含まれている。

最近、糖質制限ダイエットが盛んだ。
糖質を食べないようにするもので、食物繊維は吸収されないので食べてもよく、果糖は血糖値は上げないが、中性脂肪になるので食べない方が良い。

乳糖は摂取しても良い。
人工甘味料も血糖値は上げないため食べてもいい(身体に合う、合わないはある)。

参考文献の筆者の体験談では、お昼のご飯を食べず、日本酒を飲まなくなっただけで高血圧が自然に治り、中性脂肪やLDLコレステロール値も正常になり、昼食後の居眠りもなくなり、二日酔いもしなくなり、花粉症も良くなり、疲れにくくなる。

本当にそんないいことばかりなのか?
睡眠障害でも糖質制限で入眠剤が必要なくなったという事例やうつの症状も改善したらしい。

実はタンパク質の方が早く消化され、ご飯やうどんは胃に長時間残り、消化に良いわけでは無いようだ。

【糖質制限で食べてもいいもの】
・肉、魚、卵、大豆
・葉物系野菜
・キノコ類、海藻類
・アボカド
・チーズ(牛乳・ヨーグルトは大量じゃなければ大丈夫)
・コーン以外のナッツ類
・油類(マヨネーズ・バターもOK)
・揚げ物類は食べ過ぎなければOK
・蒸留酒(ウイスキー・ウォッカ・焼酎など)、甘くない赤ワイン
・糖質オフのビール、缶酎ハイ
・塩味の焼き鳥

【糖質制限で食べちゃだめなもの】
・米、小麦(うどん※1玉角砂糖14個分・パン・パスタなど)、蕎麦
・砂糖、砂糖が味付けに使われているもの
・根菜(芋類・人参・蓮根)山芋もだめ
・アボカド以外の果物
・お菓子、スナック類
・無糖以外のジュース類
・醸造酒(日本酒・ビール・マッコリなど)
・タレ味の焼き鳥

糖質制限をすると量を食べなくても満足するようになり、毎日同じものを食べても苦痛や不満はなくなる。
ヒトは長い間、1日2食が普通で、1日3食は江戸時代以降らしい。

炭水化物は植物性食物からしか摂取できないが、タンパク質と脂質は植物性も動物性もあることから、元々肉食だったヒトは糖質を摂っていなかったと考えられる。

糖質は食べなくても生きていけるということは、糖質は嗜好品(食べられないとわかると寂しい気持ちがするもの)なのかもしれない。
糖質を欲するのは「体」ではなく「心」で、血糖値の急な上昇には陶酔感と幸福感があり、血糖切れになるとイライラする(お腹がすき、食べたくなる)。

糖質制限は脂質は多く摂ってよく、糖質制限前よりカロリー摂取が増えても、皆痩せていくそうだ(筋肉量の減少の可能性もあるので運動もしよう)。

WHOの推奨摂取量(総摂取カロリーに対する三大栄養素の割合)は「炭水化物:タンパク質:脂質」=「55〜75%:10〜15%:15%〜30%」=「砂糖110~150g:鳥のささみ84~127g:サラダ油13~27g」という割合だ。砂糖に換算するとすごい量だが、穀物の多くは甘くないため、食べられてしまう。

余談だが、糖尿病の予防、治療には糖質制限をするのが良い(実際は糖尿病治療で食べている人たちがいるので知られていない)。
インスリン注射、人工透析はメガネと同じで根本治療ではない。

■ ヒトはブドウ糖を摂取すべきなのか

健常者の血液には1リットルあたり1グラムのブドウ糖が含まれている。
人体の中でブドウ糖は主に脳で消費されている。
前編でも触れたが、筋肉などの他の器官では主に脂肪酸を使用しているが、脳や網膜などの一部でのみ、ブドウ糖とケトン体が唯一のエネルギー源だ。
そのため、常に脳を動かすために血液中に一定濃度のブドウ糖が必要だ。

もし、脳が瞬間的に大量のブドウ糖を消費してしまった場合、身体は タンパク質からの糖新生 でブドウ糖を補充して、ブドウ糖の血中濃度を一定に保とうとする。
ブドウ糖補給源にはもう一つ、肝臓や筋肉のグリコーゲンからも得られるが、グリコーゲンは備蓄量が少ないため、こちらは緊急時の非常用と言える。

糖質制限をしている時、食べ物からのブドウ糖供給はなくなるため、糖新生からブドウ糖を生成する必要がある。糖新生には脂肪酸から得られるエネルギーが必要なため、備蓄脂肪を利用して脂肪酸を生成する。そのため痩せる、という仕組みだ。

逆に食事によって血中のブドウ糖濃度が濃くなってしまった場合は、糖は毒になる。そのため余分なブドウ糖は中性脂肪に変えて備蓄される。

ヒトの血中の正常な血糖値は100㎎/dlで、概ねどの哺乳類も同じ値だ。例外はオットセイや羊、ナマケモノなど。肉食草食区別なく正常値は似通っている。肉食動物や草食動物は糖質を摂取していないが、血糖値は人間とあまり変わらないということだ。

ちなみにヘビやカメはナマケモノくらい低く、鳥類は300くらいでめっちゃ高い。あまり動かない動物は脳で使用する血糖は少なく、飛行するためにはかなりの量が必要なのだろう。

脳はブドウ糖を大量に使用するが、血糖値は平常値から上振れると毒になる。そのため、常に血糖値を正常値に維持するシステムが存在する。ブドウ糖を増やすには糖新生をするが、そのためにはエネルギー(脂肪酸)が必要で、そのエネルギーを貯蔵するために皮下脂肪がある。

では、なぜ脳は脂肪酸を使わないのか。
脳が脂肪酸を使わない理由として二つ考えられ、一つは「脂肪酸は細胞膜を通れるから」である。

情報伝達物質が飛び交う脳では、水溶性物質(脂溶性物質でない)のブドウ糖とケトン体は制御しやすいエネルギー源である。前述したように、脳以外でも網膜、赤血球(赤血球にはミトコンドリアがいないため)がブドウ糖とケトン体を使用している。

もう一つの理由は進化学的に、既に構築された仕組みを変えることは難しいから。生命が神経をつくったタイミングではブドウ糖代謝が最先端で、まだ脂肪酸代謝はなかったため、その名残なのかもしれない。

■ ヒトの赤ちゃんの食べ物は大人と違うのか

ヒトの母乳にはオリゴ糖が含まれる。しかし、オリゴ糖は人間には消化できない。オリゴ糖の役割は乳児の「腸内細菌のビフィズス菌の発達のため」だと考えられている。

ヒトの汗はエクリン腺だが、多くの哺乳類はアポクリン腺を使っている(人間にもあるが、ワキガの原因となることがある)このアポクリン腺から、乳腺が出来てきたらしい。

鱗に覆われた皮膚を持つ竜弓類(恐竜、ワニ、トカゲ、カメ、ヘビ等)と皮膚腺がある単弓類。陸上に進出した際にどのように乾燥に対処するかで分岐したようだ。強靭な鱗には脱皮というシステムが発達し、脱皮直後は外的に対して非常に脆い。皮膚腺を獲得した単弓類は乳腺を発達させ、大人とは違う食べ物で大きくなれる乳幼児を育てるという進化に発展したと思われる。

【ここまでのまとめ】
ヒトは元々肉食だった。穀物を食べなくても生きていけるが、農耕が始まって、大所帯を養うには穀物が必要不可欠になった。
糖質には依存性があり、禁断症状がある。1日3食は普通ではなく、近代に生まれた食文化だ。
カロリーや常識にとらわれずに、何が必要かで摂取するものを選んでいかないといけない。

まとめ:我々はどう生きるか

進化論的観点で言えば、この地球で一番発達した生き物は鳥類だ。
ヒトは言葉や文字を発明したことで、ヒト一人ではなし得ない膨大な知識を参照することができ、地球を支配することができた(しかし、深海や地中はまだヒトには到達し得ない世界だ)。

30代になって、簡単な食糧制限では脂肪を少なく維持出来ず、「糖質制限をしたい!」と思って、何となく初めてみた。約一ヶ月行ってみたが、確かに日中に眠くなることは減り、食に対する欲求も減った(だって食べられるものが限られているし、飲めるお酒も限られるから)。

しかし、付き合いで1日通常の朝昼晩炭水化物摂取&日本酒を摂取したところ、糖質制限を始める前よりもめちゃくちゃ脂肪がついてしまった。

リバウンドである。糖質軽減をしていると、少しの糖質で身体が過剰に脂肪として蓄えることを実感した。

あと、因果関係はないかもしれないが、目が霞むような気がしている。
網膜にブドウ糖が足りてないのかもしれない。
そしてやはり、糖質制限だけでなく、運動もしないといけないと思う。

ストゼロは糖質オフでも翌日の気持ち悪さが抜けないと思っていたが、自家製糖質オフアルコール(しそ焼酎+炭酸+パルスイート)でも同じ症状になるため、やはり人工甘味料&お酒もあまり良くないような気がしている。

自分に合う食事とは何か、を人に言われるままではなく、経験で学んでいくのが良いのだろう。

現代のぬるま湯のような快適な生活に慢心せず、自分が死んで次世代の栄養になっていく先も想像して生きていきたいと思う。

白蛇と泡のイラスト

about うたかたについて

これまでのこと、すきなもの、この場所で綴っていきたいこと。よかったら、のぞいていってください。