ヒトへの進化を妄想する 前編 - 地球カレンダーで見る哺乳類への軌跡

最初に生物進化について興味を持ったキッカケはなんだっただろうか。

宇宙の始まりについて考える
 ↓
素粒子や原子などの物質の成り立ちを考える
 ↓
それらが集まった星の成り立ちについて考える
 ↓
地球の成り立ちを考える
 ↓
生物の成り立ちに行き着いた。

もくじ

祝・『大絶滅展 生命史のビッグファイブ』

特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」 daizetsumetsu.jp

この記事を書き始めたのが8月頃。
「大絶滅」で検索したら『大絶滅展』が開催だと・・・!?

特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」
会場:東京・上野 国立科学博物館
会期:2025年11月1日 〜 2026年2月23日

この企画展が始まる前に記事を投稿したかったのに、もう11月になってしまった。
(追記:もちろんこの記事を書いた後に行ってきました!感想記事を書きました↓)

大絶滅好きが大絶滅展に行ってみた 宵と泡沫

企画展に行く前の予習として、地球の生物進化について今まで断片的に学んできたことをまとめてみる。

0:参考文献

多くはネットの情報からのまとめであるが、一部は下記の本を読んだ際の覚書となっている。

残酷な進化論: なぜ私たちは「不完全」なのか(更科功) amazon.co.jp 炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学(夏井睦) amazon.co.jp

残酷な進化論はなんだか私が書く文章と似た文章でとっつきやすく、糖質制限は腸内細菌について考えるきっかけになった。

どちらも生物の進化論をベースにした論調になっており、とても興味深いので是非読んでみてほしい。

1:地球カレンダーと大絶滅史

「地球カレンダー」というものをご存知だろうか。

地球カレンダー - Wikipedia ja.wikipedia.org

地球誕生から現時点までの46億年を「1年間」に圧縮して、それぞれのイベントが地球の果てしない歴史の中でいつ頃起きたのかを体感しやすいようにしたものだ。

1月1日に地球爆誕、1ヶ月が約4億年分となる。
ホモ・サピエンスの出現は12月31日23時37分だ。

地球カレンダーと照らし合わせながら、ヒトの出現までざっと振り返ってみよう。

2月下旬:共通祖先 LUCA(ルカ)の出現(約40億年前)

地球上に現存している生物は全て 細菌、古細菌、真核生物 の三つの分類の中に含まれる。
LUCAはそれら全ての生物の共通祖先と考えられており、海底の熱水噴出孔で発生したと考えられている。

なぜ「全ての生物に共通祖先がいる」と考えられているかというと、遺伝子(DNA)の仕組みという共通要素を全ての生物が持っているから。
DNAを構成するタンパク質やアミノ酸のルールが全生物で共通なため、全ての生命はその仕組みを持っていた共通祖先から派生したと考えられているのだ。
生命が地球に誕生したことも奇跡だが、DNAという画期的な仕組みが出来たことも同じくらい不思議である。

LUCAが発生した頃、世界にはまだ酸素が満ちておらず、生命を維持するエネルギー代謝(ATP)は 嫌気性 の解糖系でブドウ糖を生成していたと考えられている。

3月29日:光からエネルギーを得るバクテリア誕生(約35億年前)

LUCA発生から一ヶ月ほど経った頃、光合成でエネルギーを得ることができるバクテリアが出現し、生物は熱水噴出孔だけではなく海面の表層でも活動できるようになる。
このバクテリアから、有名な シアノバクテリア の大発生に繋がることになる。

エネルギー代謝の生成が嫌気性だけでなく好気性(TCA回路ブドウ糖生成)も増えていくことになった。

7月上旬:真核生物の出現(約21億年前)

初夏を迎える頃、「最初の超大陸」と言われるケノーランドの分裂による 富栄養化(海に栄養がめっちゃ増えること)から、シアノバクテリアの大規模な光合成が行われる。
空気中の酸素濃度が増加した。

実は酸素は有毒。
多くの嫌気性細菌が死滅したが、好気性代謝ができる生物にとっては有力なエネルギー源となる。

その後出来たコロンビア超大陸で浅瀬が増えたことによって、古細菌アーキア とバクテリアの ミトコンドリアの祖先 が共生を始め、真核生物 となる。
元々、ミトコンドリアの祖先は好気性代謝と嫌気性代謝のどちらも行っており、嫌気性代謝をしたときに発生する二酸化炭素と水素を古細菌が利用し始めたのが共生関係の始まりのようだ。

アーキアは酸素から大事なDNAを守る核を作って防御を行い、ミトコンドリアは酸素から莫大なエネルギーを作る役目に特化し、活動をアーキアに任せて(エネルギー生成以外の遺伝子情報をアーキアに渡してしまった)お互いwin-winの関係を築いた。

9月27日:多細胞生物の出現(約12億年前)

残暑も落ち着いた頃、多細胞生物の化石が出てくる。

一昔前は後述のエディアカラ生物群の出現時に多細胞生物が出現したと考えられていたが、最近の研究でもっと古い多細胞生物の化石が見つかったらしい。
実のところ、多細胞生物がいつ頃出現したのかよくわかっていない。

この頃、初めてエネルギーの代謝にブドウ糖ではない「β酸化脂肪酸」を使った効率の良い代謝系統が導入され始めたようだ。しかし神経系はその前に作られており、未だ脳や視神経の代謝にはブドウ糖代謝が使われている。

多細胞化することによって、エネルギーを貯蔵する専用の細胞を作ることができるようになった。
植物はブドウ糖を難溶性多糖体に変換して溜め込む方式、動物は中性脂肪を溜め込む方式でエネルギーの体内貯蔵を実現した。

11月15日:エディアカラ生物群の繁栄(約5億7000万年前)

冬の気配が漂い始めた頃、突然様々な形の生物群が登場した。

エディアカラ生物群とは現在のオーストラリアのエディアカラ丘陵をはじめ、この時期に見つかる化石群の総称で、今の生物には繋がっていない系譜。なんとも面白い形状をしている。

まだ顎も目も無く、攻撃しないしされない平和な時代だ。
そのため伸び伸びと適応放散が起こったようで、どのように動いていたのか想像できない様々な形質の生き物が多い。

エディアカラ生物群はV-C境界(原生代とカンブリア紀の境界)時に起こった真の極移動やパノティア超大陸の分裂による海底無酸素化等が原因で絶滅してしまったようだ。

11月18日:カンブリア爆発(約5億4100万年前)

わずか3日後、古生代の始まりとして超有名なカンブリア爆発が起こる。

魚類の始祖である「脊索動物」はこの頃に出現している。
食う、食われるの世界で、目の発達があったのではないかと言われている(光スイッチ仮説)。

目が出来たことで肉食動物が出現し、素早く動く必要があり、筋肉が出来たようだ。
筋肉は神経とは違い、画期的な代謝システムである「脂肪酸代謝」を行うようになる。

有名なゴンドワナ超大陸が形成されたのもこの頃。

11月27日:オルドビス紀末の大量絶滅 O-S境界(約4億4400万年前)

11月も末になった頃、顕生代で起きる5度の大絶滅「ビッグファイブ」のうちの1回目となるオルドビス紀の大量絶滅(O-S境界)が起こった。
85%の生物群が絶滅したと言われる。オルドビス紀が終わり、シルル紀が始まる境界だ。

大量絶滅の原因として、超大陸の移動や植物による岩石の風化等によって海洋の富栄養化が起きた影響で、地球が寒冷化し、海が狭くなって浅瀬がなくなったことが有力視されている。ガンマ線バーストの可能性も唱えられているようだ。

この頃、生物の陸上への進出が始まり、光合成できる地衣類やコケ類の植物や節足動物、肉鰭類、両生類が陸へ上がり、昆虫類が繁栄する。

この時代の海洋生物を代表する「ウミサソリ」はとにかくデカく、絶滅した恐ろしい巨大生物としても有名だ。

12月2日:デボン紀後期の大量絶滅 F-F境界 etc.(約4億年前)

ついに地球カレンダーも残り1ヶ月。

ビッグファイブの2回目であるデボン紀後期の大絶滅では、大小様々な絶滅イベントが重なり、最終的に82%の生物群が絶滅したと言われる。
恐ろしい海洋生物として有名なダンクルオステウスを含む板皮類などの 甲冑魚 も絶滅してしまったようだ。

この大絶滅の原因は諸説あり、というか連続攻撃的にイベントが重なったようだ。
大規模な火山噴火や植物による陸地の侵食と風化等の影響による海洋の富栄養化や寒冷化、それに伴う「海洋無酸素事変」が原因だと考えられている。

パンゲア超大陸ができると、内陸はかなり乾燥するようになった。
乾燥から卵を守るため、両生類から派生した有羊膜類の双弓類(爬虫類、鳥)や単弓類(哺乳類)が出現する。
イチョウやソテツなどの裸子植物も登場。

【 石炭紀のデカイ生き物 】
メガネウラ:70cmのトンボ(現生最大のテイオウムカシヤンマは16cm程)
アースロプレウラ:2.6mのヤスデ(普通に考えてデカすぎる)
レピドデンドロンやシギラリア:デカいけど倒れやすい植物(30m以上)

■ なぜ大型化できたか
気門からしか酸素を取り入れられない虫(甲殻類などの無脊椎動物も)は 酸素濃度によって 大きくなるか小さくなるかが決まると考えられている。
現在の地球は大気中の酸素濃度は21%だが、石炭紀は36%もあったようだ。
また、極域の海は酸素濃度が高いため、大型化の一因とされる。

12月12日:ペルム紀末の大量絶滅 P-T境界(約2億5000万年前)

そろそろ年末が近づいてきた頃、ビッグファイブ3回目は 最大の絶滅イベント となったペルム紀末の大絶滅。
95%の生物群が絶滅してしまい、古生代と中生代の境目となる。やばい。

この大絶滅の原因として、有名な「シベリア・トラップ」で知られる破局噴火(スーパープルーム)が有力視されている。

海全体が酸欠状態になったことで特に海の中に被害が大きく、海洋生物が壊滅してしまった。三葉虫も絶滅してしまう。

陸上では、気嚢(現生の鳥類の呼吸機能)や腹式呼吸(現生の哺乳類の呼吸方法)で低酸素な環境を乗り切れる者のみ生き残れたようだ。

深海では、代謝がゆっくりで海底にいたオウムガイやシーラカンスなどは生き残れた。

12月14日:哺乳類の出現(約2億3000万年前)

ペルム紀末の大絶滅から2日後、単弓類から 哺乳類 が発生する。
四肢が発達し、体毛や恒温性を獲得していく。

12月15日:三畳紀末の大量絶滅 T-J境界(約2億年前)

1日後、ビッグファイブ4回目の三畳紀末には、76%の生物群が絶滅した。
この大絶滅の原因はよくわかっておらず、破局噴火説や隕石説があるようだ。

爬虫類や単弓類の大型動物が絶滅し、恐竜の全盛期 が始まる。
被子植物と鳥類の出現したのがこの頃のようだ。

12月26日:白亜紀末の大量絶滅 K-Pg境界(約6600万年前)

クリスマスが終わったこの日、大絶滅と聞いて誰もが知っているであろう、恐竜時代を終わらせたビッグファイブ最後の絶滅、白亜紀末の大絶滅が起こる。
70%の生物群が絶滅し、鳥類の祖先以外の恐竜、翼竜、首長竜、モササウルス、アンモナイトが絶滅した。

原因は言わずとしれたメキシコのユカタン半島の大きな隕石の衝突説が有力(隕石の冬)。
隕石とは関係なく恐竜が普通に絶滅した説もあるようだ。

ここで中生代が終わり、哺乳類が繁栄する新生代となる。

12月31日:ヒトが霊長類から分化(約700万年前)

年の瀬の大晦日になり、ついにヒトの登場。
現生人類となるホモ・サピエンスの登場までに様々な原人が出現した。

中でも、火を使うようになったとされるホモ・エレクトスは、肉を焼くことで多くのエネルギーを得ることができ、脳が大きく進化する要因となったようだ。

ホモ・サピエンスはアフリカを出て世界各地に広がった(グレートジャーニー)。
ヒトの好奇心は計り知れず、宇宙にも進出していく。

【 ここまでのまとめ 】
01月01日:地球誕生
02月下旬:共通祖先の誕生
07月上旬:真核生物の誕生
11月18日:カンブリア爆発
12月14日:哺乳類の出現
12月26日:白亜紀末の大量絶滅(恐竜の絶滅)
12月31日:ヒト科の出現

後編では具体的にヒトが辿った進化の流れを追っていく。

ヒトへの進化を妄想する 後編 - 優れた進化と糖質との関係 宵と泡沫
白蛇と泡のイラスト

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