人から借りた本を読みました。
初めて部下を持った時のマネジメントの考え方として、とても良かったので、覚書です。
スティーブ・ジョブズやGoogleの創業者たちが師と仰いだ伝説のコーチ、ビル・キャンベル氏の教えをまとめた本です。支えた企業の時価総額を合計すると1兆ドルを超える、というのがタイトルの意味となります。
人から借りた本を読みました。
初めて部下を持った時のマネジメントの考え方として、とても良かったので、覚書です。
スティーブ・ジョブズやGoogleの創業者たちが師と仰いだ伝説のコーチ、ビル・キャンベル氏の教えをまとめた本です。支えた企業の時価総額を合計すると1兆ドルを超える、というのがタイトルの意味となります。
本の厚み的に( ´-` ) 。oO(読み終わるまで一週間以上はかかるな)と思っていました。
・・・まさかの3日で読み終わりました。
読んでいるうちは、続きが気になってしょうがなく、ビジネス書というよりルポルタージュやドキュメンタリーのようでした。
私の認識が悪かったのかな、本の中では否定していますが、この本はビルの伝記だと思います。
違和感のない読みやすい文章(人名だけ誰が誰か分からなく躓いた)と、スッと入ってくる背景情報や情景、言葉の臨場感と謎の疾走感。なんでこんなに読みやすいんだろうととても不思議だったのですが、最後の「謝辞」を読んで納得しました。原文の段階で「ストーリーテリング」と「文体の監修」がめちゃくちゃ入っているようです。
日本語訳もめちゃくちゃ読みやすくてすごい!人にオススメしたくなる本ですね。というか、「謝辞」が一番面白かったですw
ビル・キャンベル氏は、キリストやソクラテス、孔子のような人物なのだと思います。( ´-` ) 。oO(まるでシリコンバレー版の論語のようだ)というのが本を読んだ第一印象。
おそらく、世の中には常に「徳を積んだギバー的な人間」が存在しているが、そういう人を書物に残すとこうなるのだと思います。
突き詰めるとよくある話なのですが、それをシリコンバレーのトップでやってのけたのがすごいのだと思いました。
「ビルならどうするだろう?」
何かを決定するときに心の中に出てくる人。私にも覚えがあります。
とても厳しく、時には優しく指導してくれた"コーチ"は、いつまでも心の中の師として、私の一部となっている感覚。
怠けたい気持ちも、心の中の「イマジナリー○○」が嫌な顔をしたり、檄を飛ばしたりしてくれるから踏ん張れる。
そういう師匠を持てること自体が恵まれた幸運だと思います。ビルを師とできた人々がなんとも羨ましい。
ビルは表裏がなく、店員からシリコンバレーのCEOまで同じように接し、「肝っ玉がすわっている(=ボールジー)」というあだ名をつけられたそうです。
「やっちまえ!」の精神で物事にあたり、誠意と勇気を周りに示す。そして空気を読むこともできる。
チーム全体を俯瞰し、どこに問題があるかをリアルタイムに観測し、修復していく。主語が「私」ではなく「私たち」であることを重視していました。
本を読んでいてスッとしたことがあります。「コーチングを受ける側を選ぶ権利」がコーチにはある、ということです。
教えられる側がコーチングを受け入れる姿勢でなくてはならない。
(中略)
ビルが求めたコーチャブルな資質とは、「正直さ」と「謙虚さ」、「あきらめず努力を厭わない姿勢」、「つねに学ぼうとする意欲」である。
Chapter 3 「信頼」の非凡な影響力 P.137
自分の弱さをさらけ出すことで、初めてコーチを受け入れることができます。嘘つきにはコーチはできない ということです。
嘘つきで学ぶ気のないクズにどれだけ頑張って教えようとしても無駄。相手からも誠意を向けられ、お互いが信頼できなければコーチはできない。
コーチングをもっとも脅威に思うのは「自信のないマネージャー」みたい。自分の考えをダメ出しされるのは気分の良いものじゃないから、受ける側の心構えが大事ですね。逆にコーチを受けられるのは「自信の表れ」であるとも言えます。
1on1では、議論すべきこと「トップ5」を挙げるのが良いそうです。
部下の特性によってトップ5の提示の仕方を考えます。ベーシックな方法は、上司と部下が同時にホワイトボードに書き出し、お互い何が重要だと考えているのかの「考え方の違い」を確認しながら進める方法。部下がどういうことに関心があり、優先度が高いと思っているかを知ることができます。
他にも、相手から先に出させたり、自分から先に出したりと、相手の性質によって変えることで1on1が有意義なものになります。1on1は部下への貴重なコーチングの機会と捉え、上司は全力で準備を行いましょう。「ビジネスの話よりプライベートの話の方が本題だったのでは」と思わせるほど、相手のことを知ろうとし、親身になる姿勢が大事であるようです。
また、仕事上の関係性を尋ねるときは「上司との関係」より「同僚との関係」を重視。
仕事をするときに一番関わるのは同僚です。同僚からの評価はどうか、同僚からの評価を上げるためにどうすればいいのか、で指導すると良いようです。
信頼とは、「約束を守ること」「誠意」「思慮深いこと」の3つ。これができる関係で初めて信頼関係が生まれます。
何かがあった時、フィードバックはすぐ行うのが良いですが、ネガティブなフィードバックは人前で行わないようにしましょう。相手の話は ノートパソコンやスマホを見ながらではなく全身で聞き、敬意のこもった問いかけを行います。
「すべきこと」は指図するのではなく、相手に気づかせるために「物語」で話します。
人は「ありのままの自分」でいられる時、最高の仕事ができる。部下がありのままの自分でいるのかどうか、ありのままの自分でいられない障壁がないかどうかを知るために、相手の深いところまで知る必要があります。
1on1で知った相手のことは口外せず、約束を守ることでさらに信頼関係が築けます。
ダーウィンの著書『人間の由来』からの引用で下記が書かれていました。
「成員の多くが高い愛着心と忠誠心、服従心、勇気、思いやりを持ち、つねに助け合い、全員のために自分を犠牲にする覚悟がある部族は、ほかの多くの部族に対して勝利を収める。これは自然淘汰である」
Chapter 4 チーム・ファースト P.169
良いチームには心理的安全性(マネージャーやリーダーがいるから、メンバーが安心してリスクをとれる)があり、明確な目標と仕事に対する意義を持ち、お互いを信頼し、チームの目標が会社や社会に良い影響を及ぼすと信じているメンバーたちが必要で、そのためには「チームがコミュニティであること」が重要。
人は「コミュニティに属している実感」があると、生産性や仕事に対する意欲が上がるらしい。「職場で悪態をつくと士気が高まる」という研究結果があるらしく、確かにそういう場面があるなと納得できます。
ビルは口が悪かったそうですが、その悪口をみんなが半ば楽しみにしていたようです。そして飲み会の席では「ビルのいるテーブルは子供のテーブルだった」と称され、分け隔てなく部下や同僚を楽しませることでコミュニティを作り、ストレスを発散させていた。
私も好きだった上司にそういう人がいました。やるせないことが多い仕事の場ではそういうガス抜きをする人が必要ですね。
チームをコミュニティにする第一歩として「チームミーティング」の運営方法を変えてみる、という提案がありました。
メンバー全員の旅の報告から始めてみたり、先週あったことに対してチームの誰かに感謝する(同じ人を選んではいけない)など、「チームメンバーには大切な家族がいて、血の通った人間である」という実感を与えると、何か議論するときもお互いに歩み寄った姿勢で進めることができるようになります。ミーティングをすることが「楽しみに思えること」が、コミュニティとして成功している状態の指標。
ミーティングの中で「部屋の中のゾウ」がいないかを注意深く観察しましょう。
「部屋の中のゾウ」とは、みんなが見て見ぬふりをする不穏分子や問題の原因のこと。メンバーの中にある緊張や問題が明るみに出ていない状態。部屋の中のゾウを表舞台に引きずり出すのがマネージャーの仕事です。
スムーズに議論するためには、資料は絶対に先に共有し、メンバーは必ず目を通して自分なりの問題点をもってミーティングに挑むようにしてもらいます。
実際のミーティングの時には「ハイライト(うまくいっていること)」と「ローライト(うまくいっていないこと)」の提示をするのが良いですが、事前に共有する資料には載せないようにすることで、メンバーがミーティングまでローライトが気になって悶々とする状態にさせないようにという配慮も大事です。
グーグルで「マネージャーはいなくていいんじゃないか?」と、実際にマネージャーを置かずに、エンジニアから直接部門責任者へ報告を上げるようにしてみたようです。しかし、現場のエンジニアからは「学ばせてくれる人や、決着をつけてくれる人が必要だから マネージャーがほしい 」という意見が多かったという話があります。
良いマネージャーになるには、独裁者にならず、部下に指図しないようにし(必要な決定は下す)、部下からの敬意を強制せず(信頼してくれたメンバーからは自然と敬意が生まれる)、自分が会社や部下を思っていることを理解させるようにして「自分は大切にされている」と部下に実感させられることが求められます。
リーダーは先陣に立って「勇気の伝道者」としてふるまい、部下の話に耳を傾け、部下の様子に注意します。
良いチームには「決定が下されたら全員がそれを受け入れること」も必要。
決定を下すときは「第一原理(人として大切にしなければいけない倫理、正しく勝つこと)」を一番に考えます。第一原理に基いた決定であれば、たとえ自分的には良くないと思う決定であってもまったく受け入れられないものにはなりません。
そしてチームメンバーには「知識の共有」を行い、なぜそういう決定になったのかを全員がきちんと理解できるようにします。
もし不本意な決定であっても、リーダーが決定したことはチームメンバーで全力で応援します。リーダーは問題に決定を下すために存在していますが、メンバーには意を決してその決定を下してくれたリーダーを支える責務があります。
力が一つになったチームのIQは、個人のIQを超えることもあります。
チームのためなら、時にはプライド(エゴや野心)を捨てる必要があり、様々なエゴを持ったメンバーが、どうすれば「全員の力を合わせられるか」を考え、実践すること、それが チームビルディング の根幹です。そして誰かの成功はスタンディングオベーションで派手にほめましょう!
大きな成功のために、何かを犠牲にしないといけない時があります。
大義のために何かを犠牲にでき、他人の成功を喜べる人材は得難い人材ですが、チームメンバーすべてがそういう人材でない場合が多い。チームにとっての「最適解」を頭と心のどちらにも理解させ、エゴに潰されずに正しい行動に導くのがリーダー(コーチ)の役目です。
「規格外の天才」がいるためにチームの士気が下がってはいけません。いくら仕事を支える天才であっても、悪い面があれば悪いこととして指摘しないといけない。それでその天才がいなくなってしまっても、いなくなったほうがチームのためになる こともあります。
マーケティングとは「プロダクトマーケティング」です。つまり、何事においても「プロダクト(を作るエンジニア)を優先させる」ことを筆頭に考えなければならない。
作ってほしい機能があっても、プロダクトを作るエンジニアに指図はしない。エンジニアは背景情報さえ与えれば「最適なもの」を作ってくれます。
マネージャーのやることは「プロダクトの障害が何か」を見極め、それを解決させること。プロダクトの問題を解決させるのはチームメンバーに任せ、問題が起こったらそれを解決する「チーム」に目を向け、そのチームがうまく機能するか、チームの問題を解決するために奔走しましょう。
イノベーションと業務とのバランスを見極めるのもマネージャーの仕事。どちらかに寄らないようにバランスをとるのが大事です。
物事の決定は「コンセンサス(根回しや社内政治)」でなく「アンサンブル(即興性)」で行われるようにし、そのメンバーが集まったからこそ生まれる有意義な討論が大事です。
たとえリーダーが「答え」や「何が正しいか」を知っていても、チーム全員に考えさせ、発言させてから言うことで、チームを育てることができます。
ゴールデンカムイの重要なシーンとして出てくる「愛です」、人間の行動原理だと思います。
ベトナム帰還兵の証言によれば、互いの背中を預けた戦友との絆は「強い恋愛関係」と表現され、夫婦以上といわれた
第二次世界大戦を含め、膨大な兵士からの聞き取りの結果、「敬愛する上官…愛する同志の期待を裏切る不安」が殺人への壁を乗り越えさせるのだという
ゴールデンカムイ 23巻 227話 P.113
多くの兵士は訓練を受けていても、実際に戦場に出て自分が殺されそうな状況であっても、人を殺すことには抵抗があります。それを乗り越えさせる動機が「愛」であると語られます。
ビルはフットボールでのコーチとしては厳しさが足りず、思いやりを持ちすぎて良い結果を残せなかったようです。しかし、その思いやりはビジネスの世界には必要な能力でした。
「夜眠れなくなるほど気にかけていることは何か?」とはマネージャーへの定番の質問らしいのですが、ビルの答えはいつも「部下のこと」でした。
毎晩寝る前に部下のことを考えろ、彼らが最高の自分になるために手助けするにはどうすればいいかを考えろ、というのが彼の教えでした。
ギバーとテイカーについて、いつか記事にしたいと思っています。
書店に「自分を助ける本」のコーナーはあるのになぜ「人助けの本」のコーナーがないのか。
コーチは メンター でなければならない。クラリスの「さよなら、コーチ」の新聞広告は、コーチへの愛がないと掲載しようと思わない広告です。それだけビルがメンバーへ向けた愛とメンバーからの愛があったのでしょう。
良いチームには「愛」が必要、その一歩を踏み出すのはマネージャーです。
「親身になる許可」を自分に与え、5分間の親切を行う(自分にとっては忙しい合間の短い5分であっても、親切を受けた側には大きなメリットと感謝が生まれる)。エレベータートークを恐れず、優しい組織になるためには「プライベートまで踏み込むこと」が必要。
「誰もが仕事以外のことを君と話したがっている。」
湯水のように金があって、それを自分以外に使うことが自分の至上の喜びである、そんな徳の高い人物が存在したら聖人扱いを受けるでしょう。
「恵まれていたなら、恵みになれ」
ビル自身がそうであったし、ビルからコーチを受けることができた人物もそれを他者へ与えています。
グーグルで行っているという、定期的な同僚に対するアンケートはいい制度だと思いました。
全社員に対しての評価だと時間がかかりすぎますが、思っていてもなかなか面と向かって言えないことは多いです。
同僚からどう思われているかを知れるのは、働く意欲につながると思います。
会社のギスギスした関係をどうにかしたいと思っていますが、そのためには「心理的安全性」があること、こじれる前に修復すること、コミュニケーションを増やすことをやらないといけない。
できないことを補い合い、「チームになること」でさらに仕事の効率が上がって売り上げに貢献できるはず・・・そのために乗り越えるべき障壁の高さに絶望し、私には良いチームになる道筋はまだ見えてないです。
マネージャーであるなら「勇気の伝道者」となって、勇気を振り絞って立ち向かっていかないといけないと、勇気を与えてくれる本でした。