毎日『文脈』を読んでいるから、お酒が飲みたくなった

転職してから約2年経った。
前職はそれなりに大きい会社に勤めており、社内外の愚痴も同僚が聞いてくれた。今は従業員が10人以下の中小企業に勤めていて、社外には敵はいないのだが、いつも社内で戦っており、誰にも愚痴を言えない。
そんなわけで、週7で酒を飲んでいる。

最近、多くの人間は空気を読まないということを学んだ

持論なのだが、仕事を円滑に進めるためには、仕事仲間とはすぐ相談し合える良好な関係を築くべきで、そのためには、困った事態になる前に、事前に良好な関係を築く根回しが必要である。

例えば、仕事以外の会話。雑談したり、今その人はどんな仕事をしているのかを聞いたり。雑談できるネタもない、接点のない相手であれば、「これ食べますか?」のような声の掛け方も有効だ。相手に断らせないため(非常に声をかけづらい相手の場合、自分の勇気づけのため)に、「これが余ってて困っているのですが」のように人助けを装うこともある。

打ち解けるための 会話の機会 を作ることで、いざ困った事態になり、突然相談しなければならなくなった時に、話しかけるハードルが下がる。それは自分が円滑に仕事をする上で非常に大事だ。

また、私は笑い上戸である。自分が入っていない会話でも、笑いどころがあれば笑ってしまうのだが、それはとてもウケが良い。(笑うなと怒られたことはあります、、)

人は、自分の話したことで笑ってくれると、自分のことを認められたようで嬉しいらしい。話者の話の骨子を理解していないと笑うことはできないので、話者の意図した笑いどころで笑えると、話者にとっては快感になる。
さらに、笑える空気を作ると剣呑な空気が和むので、オフィスに居心地の悪さを感じずにいられる。

だが、仕事仲間と良好な関係を築こうとしない人間のなんと多いことか。よくよく話を聞くと、みんな、他人に興味がないらしい。他人に興味がなくても、仕事仲間とは良好な関係を築いておかないといけないと思うのだが、そうは考えられないらしい。

仕事仲間と良好な関係を築くことができれば、いざという時に言葉足らずでも、相手は私に悪気がないことを理解し、こちらの文脈を読み取ろうとしてくれる。つまり、こちらの空気を読もうと 努力してくれる。だが、良好な関係を築かない場合、言葉のみを受け取り、文脈を読もうとしない。こちらの空気を読もうとしなくなり、険悪な状態になってしまう。

『文脈力こそが知性である』を読んだ

愚痴れないのが限界に来たため、辛さを発散させようと思い、本を読むことにした。
相手のことを考えること、空気を読むことがなぜ大事なのかを言語化しているものを読みたくて、図書館で目についた齋藤孝氏の『文脈力こそが知性である』を借りてきた。

文脈力こそが知性である(齋藤孝) amazon.co.jp

『語彙力こそが教養である』の姉妹本として書かれたというこの本は、2016年時点での「知的であるとは何か」「知性を磨くにはどうすればいいか」について作者の見解が書かれている。

文脈 とは、語彙の集まりを繋げたもの。前後の文脈によって、語彙の意味は変わってくる。書いてある文章だけでなく、話し言葉にも文脈はあり、相手の生きてきた人生も相手の言葉の文脈に含まれる。所謂「空気を読む」というのも、その場の文脈を読むことだ。

(余談だが、文脈を読みとるための語彙を増やすためには「ある世界観にハマる」のが効果的という記述があって、とても共感した。つい最近めちゃくちゃ『ゴールデンカムイ』にハマったのだが、アイヌや明治時代の日本軍について、小銃の種類、ライフルの仕組み、北海道や樺太の地理についての語彙を獲得できた。)

「会話」は「仲良くなる」ためにする

第4章「文脈力で会話は変わる」にて、雑談が上手くなるコツの項目で「会話とは、相手と仲良くなるためのもの、揉め事を起こさないようにするためのものです」という記述がある。激しく同意!

会話をする以上、その発言を聞く相手はどう思うか、反応を予測し、予測と違うことがあれば修正していく必要がある。会話にはノンバーバルなものも含まれる。

ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは、人の見た目や声の調子など「言葉以外で相手が受け取る情報」のことである。メラビアンの法則というのがあり、話相手が受け取る情報のうち、言語情報(言葉の内容)は情報全体のうち7%で、残りの38%は聴覚情報(声や聞こえること)、55%は視覚情報(見えること)なのだという。

相手と仲良くなるためには自分の感情を発声に、表情に乗せるのが効果的である。声は少し高めを意識し、話の内容がわかった表情、わからない表情、相談したい表情、任せてくださいの表情を意識する。

本に書かれた オープンバディ とはまさにそのことだと思う。リアクションを大きくすると、周りを巻き込み、その場の「文脈」を支配することができる。冒頭で書いた「笑うこと」も誰かの会話を聞いていて思わず吹いてしまうこともあるし、誰かと顔を見合わせて一緒に笑うとか、深刻な会議をした後の解散の前に冗談を行ってメンバーを前向きにして終わらせるとか。そういう「場の空気を和ませること」を意識して、日々仕事をしている。

五感は脳が作り出しているらしい

本の中で、羊羹をなんとも美しい芸術品であるように描写する話やワインの産地、年代などの付加価値で味がより美味しく感じられるという話がある。「肩こり」もその概念を知らない外国人は感じることができないという。

NHKの『地球ドラマチック』という番組で、錯覚について取り上げられていた。
目に見えているものは全て脳が作り出したものであり、世界をありのまま見ているわけではない。数秒先の未来を脳が予想して作り出している映像を見ているらしい(テニスの打ち合いをしている時は目に見えた情報を脳で処理している間にボールが動いてしまっているため、現実のボールがあるであろう場所に幻覚を見せているそうだ)。

どんな語彙を知っていて、そのものの文脈、価値観や背景を知っていると世界の感じ方が変わるのだと思う。

読解力が上がる=文脈が読める

読解力を上げるにはどうすれば良いか。
私の経験だが、小学生の頃に『十二国記』シリーズを読んだ。小学生には少し難しい言葉が多く、登場人物や地名を覚えるのも難しかったが、頭の中で情景を想像しながら読み進める没入感と読み終わった後で現実に戻ってくる達成感で病みつきになった。
児童書、ライトノベル、一般小説と自分が気になったものをたくさん読んだ。

小説は一人称の描写が多く、様々な価値観の登場人物の一生を、感情移入して何度も体験することができる。そうすると、自分の一生は一度しかないが、私はたくさんの人生を経験した事になる。

また、腐女子になったことも相手の心情を考える想像力を広げる助けになった。腐女子とは、ボーイズラブ(BL)等の同性同士の恋愛ものを好む輩のことであり、同人誌等の二次創作を嗜む輩のことである。

例えば、既存の作品では主人公とヒロインがくっつく展開でハッピーエンドを迎えるわけだが、主人公とライバルを恋仲だと想像して楽しむとか、サブキャラ同士をイチャイチャさせて楽しむとかをするわけだ。キャラの心情を勝手に解釈して、話をでっち上げる。もちろん、主人公とヒロインが恋仲の更なるイチャイチャを考えたりもする。

読書や妄想を続けた結果、国語の読解問題がものすごく得意になった。テストの短い文章であっても、その登場人物の気持ちを理解することが容易にできた。

人間だけでなく、無機物の文脈も読むようになっていった。例えば、そこにある椅子は誰がどんな目的でデザインし、そこにはどんな葛藤があり、どんな工場で作られ、そこにいる従業員はどんな人たちで、誰が梱包作業をして、誰がここまで配送してくれたのか。その全てにドラマがある。

数えきれない 人の思い で
この世界は出来上がっている。

「愛着スタイル:不安型」は性格上、自然と文脈を読んでしまう

愛着障害、アタッチメント・タイプというのをご存知だろうか。
全ての人間は「安定型」か「不安型」か「回避型」かその複合型に当てはまる。

  • 安定型:自分が人から愛されることは当たり前のことであり、自分の愛情が相手に受け入れられるのも当たり前と捉えているタイプ。
  • 不安型:人から愛されているのかいつも不安で確かめずにはいられないタイプ。
  • 回避型:自分の愛情を意識するのが難しく、相手からの愛情も避けてしまうタイプ。

一般的に、親子関係がうまくいっている家庭の子供は安定型になりやすいそうで、世の中の半分の人は安定型らしい。

私は不安型。いつも他人からどう思われているかが気になり、人と関わることが怖くてたまらない。そのままではストレスがとんでもないことになるため、「他人は私には興味がない」「他人は次の日には今日の出来事を忘れている」「他人にどう思われてもいい」と自分に言い聞かせるようにして、なんとか生活している。

そのためなのか、自然と相手が今何を考えているのかを考え、相手の機嫌を取る言動をしている。機嫌が悪い人がいる環境はストレスが溜まって辛い。

世の中の文脈にどう乗るか

この世を生きやすくするには、求められることに応えること が大切で、それができるかは「世の中の文脈を読めるかどうか」で変わってくると思う。

今の日本において、多くの人は自分一人では生きることができない。よりストレスなく生きるためには、他人に興味がなくても、興味を持つ努力が必要だと思う。

『文脈力こそが知性である』に書かれていた夏目漱石の言葉の引用の一節で「いまの世の中で神経衰弱にならないやつはどうかしている、よっぽど不真面目なやつだろう」とあり、ほんと、この世を真面目に生きるのは辛すぎる、なぜ生まれてしまったんだ、、と激しく同意した。

一説によると、日本語を習得するのは無茶苦茶難しく、日本語の処理のために脳の領域がかなり使われており、母語以外の言語を習得するのが外国人に比べて難しい傾向にあるらしい。

愛着タイプが不安型である私の脳は、日本語の処理とノンバーバル情報の処理をし、その場の文脈を理解し、常に周りの人間のコンディションを把握し、次にどうすべきかを考えている。
そりゃ、脳も疲れますわ!お酒を飲まないと脳を休ませることができません!お酒を飲める大人万歳!

追記:私のMBTIはINFJだった。この記事はINFJの見ている世界としてお楽しみいただけますと幸いです。

白蛇と泡のイラスト

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